さくともの、のたりのたり日記

ベビースリングを広めるのが目的で始めたブログですが食べ歩きや雑貨屋めぐり~ウチ食・うち呑みなどの備忘録に移行中。

子育てにおけるソーシャルスキル(防府市合同家庭教育学級)

2年ぶりに、防府市合同家庭教育学級の講演会に参加して来ました。 今年は、法政大学文学部教授の、渡辺弥生さんでした。 もともと発達臨床心理学や発達心理学がご専門だそうで、とても興味深い話がいろいろとありました。また随所で、隣席のひとと即興劇のごとくやりとりをしてみたのも良かったです(私の場合、初対面の方とペアだったので、何も情報のない方とのやりとりで、緊張感もあり良かったです)。 講演のタイトルは、「やさしい心も強い心も育てるために ~子育てが楽しくなる~」でした。 毎度のことながら結論から書きますと、子育てのポイントは、応答性と敏感性(感受性)の2点にあるということだったかと。 ママの計画ありきで、それに付き合わせようとするので無理があるのであって、子供に対して応答してあげること、そして子供の心に敏感に寄り添ってあげると、もろもろがスムーズに回るとも。 あれ!? 私がいつもスリング講習会で言っていることと似ているような・・・。 山口に戻って来てからは皆無なのですが、東京にいた頃によく耳にしていたアドバイス、そして最初に私自身がスリング講習会に参加した時にも耳にして自分に響いて来たことなので、私もスリングの使い方をお教えするときに併せてお伝えするようにしています。 にしても、それが乳幼児の頃ばかりでなく、小学生になっても通用することだったとは~face08   山口にいても子育て論を耳にすることはこれまでにもありましたが、幼稚園児~小学生を相手にしても同じことが重要だというのは初めてでしたので、衝撃的であり、かつ新鮮でしたicon12  アニミズムについても久しぶりに聴きました(やはり本よりも直接、生きた言葉を耳に入れるのは大事です)。聴きながら、Q・B・BチーズのTVCMを思い出したりしていましたicon47 TVCMのリンク先は動画。 アニミズムとは、訳すと「精霊信仰」の意ですが、簡単にいえば、全てのモノには命が宿っている(目、鼻、口がある)という考え方のこと。 講演の中でも、子どもの成長に応じて、はじめは全てのモノが生きていると捉えていたものが、自ら動かないものは生きていない(目や口などがない)と考えるようになり~という話があり、それなら3歳児はまだアニミズムまっただ中だなと思ったのですが、次男はどうもそうではないような・・・。 (ここからは、私の考えについては文面を着色しておこうかと・・・かえって読みにくいかもしれませんがicon10 3歳過ぎの頃に、幼稚園参観の日があり行ってみたのですが、クラス全員が先生に言われるままに星に顔を描き入れている中、次男だけは先生に「あれ!? ほっぺは?お口も描いてみよっか~」と促されても最後まで描こうとしませんでした。それでも2つの目だけは描いていましたが、黄色でしたので他のみんなほど顔らしくはなっていませんでした。 アニミズムの期間が短かったということでしょうか。講演をお聴きしながら、ちょっと気になりました。 気になっていたところに、小学1年生の例を出されました。 渡辺教授、今は文学部におられますが、以前は静岡大学教育学部にいらしたそうで、大学生が教育実習生(教生)の先生として小学校に行った時のこと。 教生の先生から、各自で育てた朝顔を自分の机の上に持って来て観察してみましょう~となり、続けて、「朝顔さん、なんてお喋りしているかな?」と小学1年生の子どもたちに呼びかけてみたところ、みんなが一斉に、耳を植木鉢の土に耳を近づけて必死に声を拾おうとしたそうです。 そして間もなくして「ハーイ」と子どもたちの元気な手が次々と上がり、 「朝顔さんが、おはようございますと言っています」 「まだ眠っていて出て来たくないと言っています」 など、クラスみんなが朝顔から聞こえる声を拾って発表する中、ひとりだけ、いつまでも土に耳を近づけている子どもがいて、彼が隣の子どもに言ったそうです。 「みんな、聞こえるの?ぼく、何も聞こえないんだけど・・・」と。 そういった子どもがいるとは先生も気付かないまま、次に、「じゃあ、みんなで朝顔さんに手紙を書いてあげよっか~」と先生は用意しておいた紙を配り始めました。 何も聞こえないと言っていた男の子は、やっぱり聞こえないままで何も書けないでいて、ついでに「お手紙を書いても(朝顔は)読めるの?」と言っていたのだとか。 この話を聴きながら、小学1年生って、こんなにピュアだったかな~と思ってみたり。と同時に、この男の子にどういう展開があったのか気になってみたり。瞬間的に生成された社会の波に乗っかってみただけで、実は、他の生徒たちも彼と同じことを内心、思っていたのかなぁ~!?  さて本題に戻ります。 ---------------------------------------------------------- ○ 発達的な理解 ・親と子の信頼関係はいつできる? →離れられる(=信頼関係成立)頃から ・罪悪感はいつごろ感じるの? →4歳ごろから 「~ちゃった」が付き始める頃                                            割った→割っちゃった 、 壊した→壊しちゃった   ・相手と自分の気持ちが違うことはいつ分かるの? →4歳ごろから ・表情を区別するのはいつ? →5歳ごろから(3,4歳の頃はまだ間違えることあり) ・うなずきはいつから? →小学中学年の頃から これまた気になることが沢山・・・icon10 つい先日、同じ年長の男の子をもつママさんとも話したのですが、昼間でもトイレに一人で行くのを恐がるなど一人で不安を感じることが年長になって再来していて、物事がいろいろと理解できるようになった上で、ひとつまた考えるように(慎重に?)なっているのかなぁ~と。 そして、うなずきに関しては次男は3歳を過ぎてから長男に対してのみ、よくするようになっています。しかも「ふーん、ふーん。そうなんだ~」と相槌まで入れていたりして・・・その目的は、長男の話を早く終わらせるためなのですが、いやはや愛のない相槌には、さすがに長男も気付いている様子icon11 どこで覚えてきたのやら・・・!? ---------------------------------------------------------- ○ やさしい心=思いやり ・表情から気持ちを推測・・・相手の表情を観て、どんな気持ちでいるのか分かる。 ・相手の立場に立つことができる(役割取得能力)・・・相手の視点に立って考えることができる。 ・相手と同じ気持ちを共有できる・・・同じような気持ちを抱くことができる。 振り込め詐欺などは、2番目の役割取得能力までは理解できているものの、その先の共有が出来ていないから出来てしまうことなのだとか。なるほど・・・face04 ---------------------------------------------------------- ○ 子どもがジレンマになるとき 例文に基づいて、隣の人とペアになって即興劇のようなことを各テーブルごとに行い、子どもにどう対応するのが良いのかの意見交換もありました。小学4年(10歳)になると、思春期の入口というばかりでなく、将来の展望(時間の見通し)も出来るようになるので、ジレンマに遭遇することも出て来るとのこと・・・。 いやいや、大人になってもジレンマがあるわけで・・・それを10歳でうまく対処するのは難題かも!? ここで、思いやりと行動の発達について、レベル0~3それぞれの段階について説明もありました。 小学3,4年生になると、建前なども理解できるようになり、小学2,3年生で漫画などの吹き出しも理解できるようになるそうです。 このレベルの説明、とても納得しました。長男が次男に対して、自分の思い通りにしたくて手を出す(暴力=レベル0)こともあれば、脅し(レベル1)や説得(レベル2)に転じることもあり、それら3つを行ったり来たりしています。それで私が彼にアドバイスするのは、気持ちの切り替え、興味対象の転換なのですが、同時に次男にも同じことを試みていると、たまに二人同時に、興味対象がガラリと他の同じことに移ってしまうこともface07 なかなか従順や妥協には行きづらいですね・・・。 ジレンマは、成長していく時であり、一番の学びのとき(解決力が伸びるとき)。 ---------------------------------------------------------- ○ 強い心 レジリエンス=打たれ強く、しなやかな心 1.自尊心 2.共感性 3.ソーシャルスキル、ユーモア、コミュニケーション能力など ユニセフ(2007年)が発表した、先進国の子どもたちに関するレポート『さびしいと感じる15歳』によると、日本がダントツトップで30%を超えていて、逆に、「さびしいと感じる15歳」が最も少ないのが、オランダの2.9%でしたicon01  何がオランダにあるのか、とても気になりましたicon14  ちなみにワースト2位は、アイスランド(10.3%)でしたが、日本のわずか1/3でした。 ---------------------------------------------------------- ○ 子どもの理解について ・子どもにアドバイスする時には、出来るだけ具体的に教えてあげる。 例えば「勉強しなさい」とばかり言っても、からっぽの箱を無理に子どもに押しつけているに過ぎなくて、その中味を教えてあげなければ、どうしたら良いのか分からないことが多い。 ・叱る時や注意する時に、性格のせいにしない。性格は所詮、少ないサンプルの中における比較データに過ぎないものなので。性格のせいにして、無意識のうちに責任転嫁しているのでは!? 子どもは社会性も教えてもらって初めて出来ることもある。 ・教育は、忍耐と工夫(←同じことを繰り返してやるばかりでは意味がない)。 これも私がスリング講習会でお話していることと似ていて、ちょっとビックリしました。いくつになっても同じなのですね・・・。講習会では、忍耐という言葉は使っていませんが、「子どもが嫌がるんですよ」と相談されると、いつも「気分や場面が違えば、すんなり上手くいくこともあるので、根気よくやってみて下さい」とアドバイスしています。 スリングは、ベビーカーや赤ちゃんをきっちり固定する抱っこ紐と異なり、子どもの意思で何とでも出来るツールなので(簡単に抜け出せます)、親の一方的な思いだけで使うのが難しいという一面もあります。なので赤ちゃんに語りかけながら使って頂くようにアドバイスすることが多いです。 ---------------------------------------------------------- ○ ソーシャルスキルとは 1.まだ学んでいない →積極的に教えてあげる 2.誤って不適切な行動を学んだ →不適切な行動をやめる、再学習 3.分かっているけど、自信、意欲がない →機会を与える、ほめる 4.分かってもいるし、行動もできるけれど、状況をモニターできない →細かく状況を説明する 例えば、お友達と仲良くしたいときに、お友達のところに行って、「入れて」と誘うといった知識を持ち、しかも実行もできるけれども、そのお友達がもめている時に「入れて」と言っても聴いてくれるはずもないのだが、「先生、ぼくちゃんと入れてと言ったのに、みんな、聴いてくれない!」といった場合。ひとつひとつの状況をもとに、細やかに状況を説明してあげる必要があるそうです。 ---------------------------------------------------------- ・ 就職活動に必要なことは、Action、Team work、Thinking ・話し上手は、聴き手 次第。  ↑ 「話し上手は聞き上手」というのは聴いたことがありますが、この方が的確かも♪ ・ノンバーバルと言葉で、ほめる。 ノンバーバル(言葉によらない)コミュニケーションは、言葉をまだ獲得していないうちに、いかに赤ちゃんと濃密にしておくかが、その後、言葉でコミュニケーション出来るようになってもポイントとなると聞いたことがあるので、このラストの言葉については、もっと深く聴いてみたかったです。 ・人間は、赤ちゃんの頃からヒトを求めている。 ---------------------------------------------------------- 以上、簡単なメモ書きと記憶をもとに備忘録がてら書いてみました。 写真は、昨日、防府市立図書館で見つけた、渡辺弥生さんの本。 事前に、自宅で検索しておいたものの予約は出来ず(書棚にある場合は予約できず)、3冊とも自分で探したのですが、その中の1冊は共著でデータばかりでしたので、残りの2冊だけを借りて来ました。 あちこちで渡辺教授の本を探している途中で、懐かしい本を発見! 青木悦さんとは、こちらの「たいせつなことは・・・」が発売されて間もない頃に、「武蔵市立0123吉祥寺」でお目にかかり、沢山の言葉をいただきました。その時にお聞きした実話を今でも周りに話すことがあるのですが、話しながら思わず涙が溢れて来てしまいます(・・・涙腺が弱過ぎというのもありますが)。 当時わたしはまだ出産して1年足らずの頃でしたが、青木さんが成長したお子さんから言われた言葉が、自身にとても染みたのです・・・子どもの視点や思いは、親が思っている以上に深いところにあるんだなぁ~と。 その言葉がこちらの本にも掲載されているかどうかは、これから読んでみないと分からないのですが(こちらの本を手にしたのは初めてですので)、あれば、またご紹介します。たぶん・・・。